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Award

平成30年度時差Biz推進賞

ワークスタイル部門受賞

日本航空株式会社日本航空株式会社

受賞理由

受賞理由

昨年度に引き続き、時差Bizの取組の1つとして早朝出勤者を対象にコーヒーの無料提供を実施。今年度はさらに、バナナや栄養補助食品も配布することで、早朝出勤を促進した。昨年度は、時差Biz期間にグループ全体(対象者約3,000名)で約1,530名が8時以前・10時以降の出勤、もしくはテレワークを実施したのに対し、本年は社員一人ひとりのワークスタイル変革に対する意識が高まっていることもあり、日本航空単体(対象者約2,100名)で約1,530名が実施し、参加率が72%と大きく向上した(昨年は約50%)。テレワークの実施数は、平成29年度で5,507人日(グループ全体では12,951人日)と前年比2倍となった。また、ワーケーションという新たな取組も行っている。

日本航空株式会社

働き方の柔軟性をテーマとして、平成26年からワークスタイル変革に取り組んでいる日本航空は、時差出勤のほか、テレワークやワーケーション(旅行先などでの仕事を認める制度)の利用も促進している。その努力は確実に実を結び、同社の時差出勤やテレワークの経験者は飛躍的な勢いで増えていた。その伸長を止めることなく、今後さらに制度をブラッシュアップしていくために、同社はどんな思いを持って取組と向き合っているのか。人財戦略部ワークスタイル変革推進グループ東原アシスタントマネジャーにお話を伺った。

時差Bizを続ける理由

日本航空株式会社
人財本部人財戦略部
ワークスタイル変革推進グループ
アシスタントマネジャー
東原 祥匡様

「ワークスタイル変革に本気で取り組み続けていく」とのトップメッセージも発信している日本航空。同社は年間総実労働時間11,850時間を目標として掲げており、その達成を目指すための具体的な策として活用されているのが、時差出勤やテレワーク、ワーケーションなどといった取組だ。
「業務に支障なく、それでいて労働時間を減らしていくには、社員一人ひとりが自分自身で働き方をマネジメントしていかなければなりません。そのために、当社で用意している制度を有効活用してほしいと思います」(東原アシスタントマネジャー)
実際に、同社の各種取組は既に社員へかなり浸透し、積極的な活用もなされている。例えば今年度の時差Biz参加者は対象社員全体の7割を超え、テレワーク経験者も昨年度末の3割程度から、今年は対象社員の半数以上にまで伸びている。この急激な伸びを停滞させず、さらに伸長させていきたい。その思いから、日本航空は昨年に引き続き、時差Bizを活動活発化のきっかけとして利用することにしたのである。

1 総実労働時間(年間)=年間所定勤務日数×所定勤務時間(8時間)+時間外・休日労働時間-[(年次有給休暇日数+特休日数+欠勤日数)×所定勤務時間(8時間)]
(参考:所定勤務時間:8時間/日、年間付与年休日数:20日)

具体的な取組内容

日本航空株式会社
今年度はコーヒーだけでなく
バナナや栄養補助食品も配布

昨年に引き続き、時差Biz期間中は8時前、もしくは10時以降の時差出勤を推奨した。それに合わせて、再度、本社最上階に期間限定のカフェを設置、コーヒーの無料提供サービスを行った。その際、昨年の好評を受けてオープン時間を15分早め、7時15分からのスタートとした。加えて、早朝出勤をさらに支援するために、数量限定ながらバナナと栄養補助食品も配布。待ち時間に取ったアンケートからは、毎回「今日初めて利用する」との声が多く見られたという。
「運営サイドのメンバーとしては、カフェの利用は早朝出勤が習慣化している人の方が多いものと思っていましたが、結果はまったく逆でした。職場でバナナなどを手にしている人を見ると、『それ、どうしたの』と話題になり、カフェの存在が口コミでも広がっていったようです。なかにはこれがきっかけで普段より30分早く出社したという声も聞き、カフェ効果を再度実感することができました」
カフェ設置の情報は、もちろん社内一斉の業務連絡として周知に努めたが、「こうして社員の話題にのぼり、ちょっとした笑いも生み出すような状況ができたことは、ある意味職場の活性化にもつながったのでは」と東原アシスタントマネジャーは語る。
このカフェは今年も好評であり、それを反映してこれまでの成田、羽田に加え9月からは本社にも常設されることになったという。今のところ営業時間は昼から夕刻となっているが、将来的には早朝からのオープンも検討中だ。

時差Bizに期待すること

日本航空株式会社

「時差Bizは夏のイベント。そんな意識でいたのでは、本当の効果は期待できないと思います。個人の働き方というものは、年間を通して考えていくべきです。その意味で、次回冬に時差Bizを開催してもらうことは大歓迎です」。そう語る東原アシスタントマネジャーは、定期的に時差Bizが実施されることで、夏の間の習慣を、年間継続させることにつながるのではないかと期待している。その期待があるからこそ、日本航空は今後も継続して時差Bizに参加していく予定だという。
時差出勤やテレワーク、ワーケーションなどの制度を通して自社の社員が「自分はもっと柔軟に働ける」ことを実感して欲しいというのが同社としての願いである。そしていずれは、個々の企業の取組が世の中全体の流れとなり、このような制度が当たり前になっていくのではとも予想する。
「将来、どのような課題が待ち受けているか分からないが、変化を求められたとき、周囲の環境に合わせてフレキシブルに動ける組織であること。それが今後当社に求められているものでもあると考えます」
時間や場所にとらわれない柔軟な働き方、その多様性をしっかりと浸透させていくために、日本航空のワークスタイル変革はおそらく今後も着実に進んでいくのだろう。

Column

ワーケーションの新たな取組

日本航空株式会社
東原アシスタントマネジャーは日本の他、
海外でもワーケーションを実施

昨年の夏のトライアル期間に11人ほどの参加からスタートした日本航空のワーケーションは、今年9月の時点ですでに参加者が100人近くとなり、今後も伸びていくと見られている。休暇中でも一時的にリモートで仕事をすることを認めるという、休暇取得時の選択肢の1つとして設置された制度だが、今それは、予想とは異なる効果も生み出そうとしているようだ。
「制度が浸透し、定着してきたワーケーションですが、当社の活動を知った鹿児島県の徳之島町、ならびに徳之島町の地方創生に向けた連携を行っている富士ゼロックス鹿児島からオファーがあり、11月末から3泊4日で『ワーケーションモニターツアー』を実施することになりました。弊社社員本人だけでなくその家族や友達の参加も認め、現地で一時的に業務を行いながら、地域を知りつつ休暇を楽しんでもらう試みです」
これは、単にワーケーションを体験するだけのイベントにとどまらない。その参加経験から働き方の工夫や、地域でワーケーションを行う際に生まれる、自社と現地それぞれで働く双方のメリットについて広く考えることも目的となっている。また、地域と交流し、その良さなどを実感することで自身の成長、生活の変化も引き起こし、それを仕事の活力へと変えていくことにも役立つのではと期待されている。
「今回は徳之島でのモニターツアー開催となりましたが、他の自治体からもワーケーションについて話をしたいとの声は多数いただいています。機会さえあれば、またこのような取組に繋げ、それを機に社員の成長も促していけたらと考えています」